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2009-09-16(Wed)

生碁の秋

三重県へ囲碁合宿に出かけた。

古民家の畳の部屋に碁盤を並べてのリーグ戦、時折庭を眺めつつ、ビールなどいただきながら打った。じゃらじゃらという石の音は、生碁ならでは。足付き盤特有の澄んだ石音も心地良かった。

互先から6子置く碁まで、年に一度しか打たない相手だけに、どの碁も強く印象に残った。出だし4連勝と飛び出したが、その後、3連敗と失速、4位だった。

盤外では、栗を拾ったり、主人が釣り上げた鯛やシマアジをいただき、鈴虫の羽音を聞きながら眠りについた。

二日目は、伊勢までぞろぞろと出かけ、日本棋院おかげ横丁支部で、地元の棋客との親善対局をした。

その「横丁棋院」は、江戸の町並みを再現した一角にあった。木の味わいが、なんともすばらしい空間で、窓外の川辺の緑も借景となり、よい風情であった。二寸盤の置かれたテーブルが、また凝っている。テーブルの側面を引き出すと、弧を描いて左右に開き、中から碁石が現れるのだ、ハマをいれる凹みもあった。

「横丁チーム」といいながら、向こうは、三重県アマ本因坊以下、元県代表、全国少年少女大会5位、三重県小学生名人ら、強豪がずらりと待ち受けていた。

私の相手は、2年連続三重県小学生名人の5年生だった。握って、私の白番、ゆっくりと中央に模様を築いたところで、戦いが起こり、攻め合いに・・・双方生き生きとなり、ヨセ勝負へ。大ヨセで白が抜け出し、結局10目以上の勝ちであった。最終盤、黒からコウに行く勝負手があったのだが、気づかれなかったのが、幸運だったといえる。来年、市ヶ谷で会えるといいね、と言って別れた。

古民家へ戻り、土間に七輪を据えて炭火で松坂牛や椎茸を焼く。煙さえも心地よい不思議な感覚で、炭火の熱でほてる顔を、ビールで冷やしながら、皆で遅くまで楽しんだ。

三日目の朝、合宿は解散し、私は一人、京都へ向かった。高速バスは、最前列の通路側の席で、視界良好、1時間45分の行程は、あっという間だった。

コインロッカーへ荷物を預けると、まずは、観光案内所で、pgさんお勧めの「京都観光一日乗車券」を購入。つづいて駅ビルの三省堂書店で、町名まで記されている、6000分の1の京都中心図を手に入れた。調べておいた京都古書店組合参加店リストと地図を両手に、お楽しみの古書店巡りだ。

今回は、地下鉄とバスを使いつつ、中京区と左京区を歩いた。日曜は閉めている店もあるようだが、もはや店主がいないと見受けられるところもあった。歩くうち、偶然、こんなものを見つけた。

記念石盤 

ここに、本因坊家開祖、算砂(日海)がいた寺があったという。

石盤駒札 

しかし、この寺は、罹災して移転していた。

気になっていた本は、いくつかあったのだが、『雁金準一打碁選集』、『明治碁譜』、『囲棋新法合本』などに、出会うことができた。

また、古書店に関する本がずらりと並んでいる店があり、思いの外、読み込んでしまった。

鴨川縁のカフェでエスプレッソを飲み、地図を眺めながら、歩いた道を見返していると、京都の広さを感じずにはいられない。この街に古書店はとても多い。まだ、5分の1も回れていないだろう。

今回の旅でぜひ行きたいと思っていた場所が、ここだ。

寂光寺門 

さきほど見た、石盤があった場所から、ここ仁王門通り東山西入に移った、「寂光寺(じゃっこうじ)」である。

寂光寺駒札 

寂光寺遠景 

この本因坊家の道場は、道策のとき、江戸へ移った。

寂光寺を後にして、京都駅へ戻り、いよいよ今回の旅の最終目的地へ向かった。目指すは北区、新大宮商店街にある、囲碁サロンギャラリーゼニキ。

迎えて下さったのは、kyonchnさんと、「セツコ」さん!私が意外に若すぎて、拍子抜けされた様子でいらしたが、いれていただいたお茶はさすがのおいしさでした。

しばらく、話をしてから、「では2子で」ということになった。置碁の白は厚く打つに限ると思っているので、自然に外回りになったが、ここからkyonchnさんの棋風と思われる「厚み消し」が炸裂!ただ、「厚みに近寄るな」という格言もあり、その手法は諸刃の剣ともなるようだ。その後、もみ合いから死にそうな石もお互いにあったが、これまたお互いに追求不足の感もあり、生き生きとなった。大ヨセから白が主導権を取り、中地をつくって差がついたようだ。「では3子で」ということで、もう一局打った。kyonchnさんは、形も良く、本手を重んじるしっかりした碁を打つ方だと思う。だからこそ潰れなかったし、弱石もできなかった。ただ、そのためか、白が各所に先行することになり、主導権を握るのがむずかしかったのかもしれない。また、この日の2局は、私がやや早打ちだったので、ちょっと打ちにくくさせてしまったのかなと思う。着手に悩まれる表情は、悩ましくもあり(汗)、だからこそ、いろいろな手を考えていらしたことが、局後の感想でも伝わってきた。1局目は1時間位、2局目は40分くらいだったかと思う。私も、kyonchnさんのように、もっと考えて打たなければ、と改めて思った。もし次の機会があれば、持ち時間の長い碁を打ちたい。帰りがけに、楽しいお土産をいただいた。

1局目 

翌日、この五路盤で、息子と打ってみた・・・おいしかった。

kyonchnさん、楽しい時間をありがとうございました。

秋は生碁がいい、と思った。

この旅で打った生碁は十局、どの碁にも、気持ちの良い手、後悔の手、そして驚きの手があった。

心残りと言えば、京野菜の種を探さなかったことかな(笑)。

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楽しい囲碁合宿&京都旅行になりましたね。写真つきなので私も目で楽しませていただきました。やっぱり生碁っていいですね。

生碁なら、ボヤキがいがあります。

ネット碁が流行ればはやるほど、生碁の価値が上がるように思います。相手の気配というか、そのリアリティが比較になりませんよね。夕暮れの空さんも、碁を再開されたようで、うれしいです。楽しんで続けて下さい。
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