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2008-10-14(Tue)

『生物と無生物のあいだ』


昨夜、Amazonから届いて、一気に読んだ本、
『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一)

生物と無生物のあいだ 


もちろん、この本が話題になっていたことも知っていたし、
本屋で平積みにされているのを見かけていたけれど、
なぜか手にとることはなかった。

ちょっと前の「秋桜日記」に、
>「物が生き物になる瞬間てどんな・・・」
と書かれていて、
そのあたりが現在どのくらいクリアーなのか、知りたくなったのだ。

読み始めてすぐに、なるほどこれは売れる本だと感じた。
研究者の知られざる内面や生きざまも掘り下げているし、
自然科学系研究社会の内幕の叙述はそれなりに興味深い。
そして、研究所がある土地の自然環境や、
移りゆく季節の表現が随所に散りばめられていて、
いわゆる「理系くん」以外の人々にも、読み易く仕上がっている。
特に、生命現象を表す比喩は秀逸だ。

しかし、肝はやはり、構造と機能が一体となった生命秩序の美しさと、
その謎に遡及する研究者の思考、実験戦略だ。

ところで、この本は新書大賞とサントリー学芸賞を受賞したそうだが、
カバーには著名人の推薦の文が勲章のように載せられている。

>サイエンスと詩的な感性の幸福な結びつき・・・

茂木健一郎さんは、この本をこう表現したけれど、
私には、多分に囲碁的な本だと思えた。


「フォー・レター・ワード」

A、G、C、T(アデニン、グアニン、シトシン、チミン)の4文字の組み合わせでできた言語が、遺伝情報の本体であり、福岡氏はその機能美を讃えてこう読んでいると思うのだが、核酸塩基の記号を手紙につづった人物が村上龍だ。世紀末に上演された坂本龍一オペラ「LIFE]の冒頭、ホセ・カレーラスが朗読する詩に、A、G、C、Tが出てくる。この贅沢な前振りは、後半の演目「GAIA(ガイア)」で、絶滅した種を詠みあげる場面につながっていた。核酸塩基のアルファベット、このシンプルにして多様な表現形態は、他ならぬ「囲碁」そのものではないか。白と黒、そしてどちらも置かれていない空点。つまり、囲碁は、「スリー・カラー・ワード」なのだ。DNAは、核酸塩基の配列という次元をもつ一本の鎖であり、囲碁は手順という次元を持つ一本のストーリーだ。

「自己複製」
高分子鎖の二重螺旋構造として安定に存在するDNAは、螺旋を解き、それぞれの鎖を鋳型として、酵素の力を借りながら、自分と同じ配列のものを複製することができる。私にはこのDNAが棋譜であり、自己複製過程が棋譜並べに通じると思えてならない。毎日、棋譜に向かい、それを忠実に盤上に複製する。生命を支える根本の営みは、棋力を支え、向上させる基本の営みに通じる。

「動的平衡」

生命体が、時々刻々その体をつくっている元素を入替えていくことが、動的平衡を保つことに繋がっている。物質を固定せず、逆に流動させることによって獲得された生命の可変性と柔軟性に学びたい。これだと確信した感覚を固定することなく、持続的に変化させていくこと。私が日々入替えていくべきものが、囲碁観である。日々棋譜を並べ、大局観を学ぶ。あるいは上手の言葉を聴く。そして、碁を観る判断基準、つまり囲碁観をバージョンアップしていくのだ。

「ノックアウト・マウス」

生化学で、特定の遺伝情報を欠損させたマウスを作り出し、失われた物質、失われた機能を調べていくという手法は、囲碁においても有用だ。俗筋、悪手によって、利き筋が失われた場面を作り出し、本来登場すべきだった手筋を調べる。手筋は囲碁における機能発現の手段だ。

そして、この本でお気に入りの言葉はこの一節だ。

-チャンスは、準備された心に降り立つ-

対局中、手筋を心がけていること、コウでの局面打開を図ること、いろいろな狙い、そして相手の狙いにも注意を払っていることが、正着や、一連の打ちまわしの発見に繋がるだろう。もちろん準備とは、対局中に限らない。日々、棋譜を並べること、死活と手筋を学ぶこと、普段の準備こそ大切にしたい。

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2008-07-30(Wed)

私淑のすすめ、『私塾のすすめ』


棋譜並べは、好きな棋士の碁がいい。
憧れの対象を、なんとかして理解しようと、
碁盤をいろいろに眺めることになり、
思わぬ発見に出会うことが増えるように思う。
心の師を意識して学ぶことは、誰でも可能だ。

私塾のすすめ 

齋藤氏は、学びのスタイルとして、「私淑」に光を当てる。
そして共通の志向のもとに生まれる「私塾」を推奨している。
梅田氏は、志向性の共同体であるブログも有益な空間だとしている。

専門能力的にも人格的にも優れた人物が中心にいるのが理想だが、
いくつもの憧れが集まることだけでも意味があると思う。
せいぜい嗜好性の共同体という域を出ないかもしれないが...

対談というと、人間同士の言葉の化学反応を期待してしまうのだが、
本書では、お互いのこだわりを認め合っているので、あまり刺激がない。
両者の著作に含まれる言葉やスタンスを土台に編集されているので、
そのあたりを読んできた私にとって、真新しい情報はさほどなかった。
お二人いっしょになって、「若者よ希望を持て」といっているようだが、
実は、「お互いがんばってきたけど、これからもがんばろうな」と、
お二人だけで元気になっている感じも受けた(笑)。

ただ、「心で読む」、「生活全体をデザインする」という言葉は印象に残った。

また、それぞれの「ロールモデル」と「座右の書」を紹介するコラムもある。
おおむね納得する人物、書物が挙げられていたが、
中には『金子将棋教室』も...
さて、これを挙げたのは齋藤氏か、梅田氏か?

「暗黙知を共有しているときに幸福感を味わえる」というと、囲碁や将棋の感想戦の話が出てきたりね。

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